国土交通大臣が意向を示した羽田のハブ空港化に賛成

当サイトの記事には広告が含まれます
空港

 昨日からマスコミでは前原国土交通大臣が羽田をハブ空港化する意向を示したことについて報道がされています。このことについて、千葉県の森田知事や大阪府の橋本知事は強い懸念を表明しています。もしも羽田空港がハブ空港化されてしまうと、成田空港や関西空港を離発着する飛行機の数が減って地元の経済効果が薄れてしまうことになるからです。

スポンサーリンク

成田空港の建設と羽田空港の位置付けの変化

 もともとは羽田空港が日本の玄関として国際便も国内便も乗り入れていました。しかし、羽田空港の離発着の枠には限りがあり、成田空港が建設されることになります。この成田空港の建設にあたっては千葉県の地元では大きな犠牲をはらっています。当初、成田空港の交通の便は悪く移動も大変でしたが、道路網や鉄道網が改善されてそれなりにアクセスは良くなってきました。しかし、羽田空港と比較すると交通の便では成田空港は絶対的に不利です。

 それに加えて、現在建設中のD滑走路が完成することにより、年間の発着能力が従来の29.6万回から40.7万回まで引き上げられることになります。これだけ増えると、現在は成田で受け入れている国際便の一部を羽田発着に振り返ることが出来るようになります。これをきっかけにして、各方面からの国際線の飛行機を集めて、隣接する国や国内の他の空港へ乗り継ぎを行うことが出来るハブ空港としての機能を強化しようというのが今回の前原国土交通大臣の発言の主旨になります。

 羽田空港自体にもいくら海上に飛行場があるとはいえ、近辺の住民の騒音問題はあります。滑走路が増えたり24時間化された場合にはこの騒音問題を解決しなければいけません。今回の前原大臣が打ち出した構想も簡単に進むわけではないかもしれません。

2024年7月1日追記

現在、羽田空港は24時間の航空機離発着が出来る空港として運用されています。深夜・早朝の時間帯(23時~6時)では、地域環境への配慮から 、滑走路の運用を2本に限定し、陸上を通らない飛行経路で運用することで、24時間空港としての機能を確保しています。

羽田空港のハブ化は利便性向上に好影響

 空港の便利さから考えると、乗り換えの容易さを考えると、国際便や国内便が成田、羽田、関西といった空港に分散されるよりも、可能な範囲で一つの空港に集めた方が、頻繁に発着することが出来るようになるため利用者にとってみれば便利になるような気がします。しかし、羽田のようなアクセスが便利な空港に集中すると、羽田離発着便の人気は増してディスカウントチケットの値段は高めになって、不便な空港を離発着する国際便のディスカウントチケットは値段が安くなるようなことも出てくるかもしれません。

 アメリカのサウスウエスト航空のようにハブアンドスポーク方式をあえて採用せずに、中型機を直行便で運航する形式にこだわる会社もありますが、日本では今のところは、ハブアンドスポーク方式がほとんどのように見えます。

 東京に住んでいるためそう感じるのかもしれませんが、成田と羽田に機能が分散するのはやはり不便だと思います。もしも羽田に発着陸の枠が増えるのであれば、この増えた枠は是非めいっぱい使って飛行機を飛ばしてほしいと思っています。

【2019/10/18追記】

東京オリンピックの開催時期間近

 東京オリンピックの開催時期が近づいています。羽田空港は各ターミナルの機能拡張と大型施設の開業により、24時間眠らない空港になってきました。国際線の増便に向けて、国内線第二ターミナルの拡張工事も行われていて、2020年3月29日からはANAの国際線の一部が発着するようになります。

 また、現在の国際線ターミナルは第三ターミナルと改称されることも決まっています。さらにこのターミナルから直結する形で1717室の巨大ホテルに、温浴施設、パンゲットルーム、会議場などが併設された施設もできます。

 羽田空港発の国際線は50往復100便が拡大されて、今まで直行便がなかったロシア、インド、イタリア、トルコ、フィンランド、スカンジナビアへ羽田からノンストップで飛ぶことができるようになります。

【2024年7月1日追記】

羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機どうしで衝突事故

 2024年1月2日に日本航空と海上保安庁の航空機が衝突し、海上保安官5人が亡くなり、1人が大けがをする事故が発生しました。日本航空機側でも乗客乗員379人全員が緊急脱出し乗客17人が医療機関を受診しています。羽田空港の離発着する航空機の容量を増やすことに関するリスクが明らかになった事故でもあります。

 また、事故発生時の消防や医療の体制についても大きな問題があったことがNHKなどで報じられています。国土交通省の検証結果をうけたもので、この日はお正月休みということもあり、空港職員や関係社員が十分に集まらずに緊急車両の誘導に遅れが生じたとのことです。

 国の業務要領によれば休日や夜間でも空港職員や関係会社の社員が最大80人集まることが想定されていましたが、この際には半分の40人しか集まりませんでした。そのため、救急車や消防車の誘導に遅れが出て、延べ台数でおよそ100台の車両が制限区域の出入りで待機しました。中には30分間にもわたり待機した救急車や消防車もありました。

 空港を大型化すれば災害時のリスクも大きくなり、また災害復旧を行うための体制の確保も重要になります。単に離発着容量を増やすだけではなく、事故発生時の対策を強化する必要性もこの事故は警告しています。

コメント