井の頭恩賜公園でツツイトモが大繁殖してモネ感が強い池に変身

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吉祥寺駅からもほど近い、井の頭恩賜公園の池を見ると、いつもとまったく違う光景が広がっています。水面まで、何か水草のようなものが大繁殖していて、ボートを漕ぐのも大変そうです。

この水草が何かというと、ツツイトモというヒルムシロ科の沈水植物で小型の多年草です。レッドデータブックにものっている絶滅危惧種の群生なのだそうです。

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イノカシラフラスコモ

また、ツツイトモ以外にも、イノカシラフラスコモのが復活していることも話題になっています。イノカシラフラスコモは野生では絶滅されたと見られていた藻類です。イノカシラフラスコモはその名前の通り、昭和32年に井の頭池周辺で新種として発見されました。(その後、市川市でも見つかりましたが、日本国内で見られたのはこの二箇所のみとなります)

自然環境 絶滅危惧種イノカシラフラスコモの保護保全 | 市川市公式Webサイト (ichikawa.lg.jp)

しかし、井の頭池周辺がその後は都市開発された影響を受けて、湧水量が減少してしまったことによる水質の汚濁や、外来種が池に移入したことによって、在来の水草が姿を消してしまいました。

その後、2014年1月に井の頭池の水を全て抜いて、底を天日に晒すことで、水質の浄化を目指す「かいぼり」が行われました。また、水を抜いた際にブルーギルやオオクチバスなどの外来種は駆除が同時に行われました。さらに、池の底に沈んでいた投げ入れられた自転車も全て撤去が行われています。

「かいぼり」によりモネの池へ

2016年には2回目の「かいぼり」が実施されて、井の頭公園池の水質は透明度が上がって水質が大幅に改善しました。そして、イノカシラフラスコモの再生が確認されています。

開園100年となる2017年から2018年には3回目となるかいぼりが行われて、ツツイトモの今回の大繁殖へと繋がっています。

七井橋のそばまで繁殖しています。

ネット上では、井の頭池がモネの絵のようになっている(モネ感が強い)と評判になっています。

これから夏にかけて、まだまだツツイトモが成長するのだとすると、水面まで伸びた藻がトグロを巻いて、逆に水底に光が届かなくなり、藻が枯れていくことによって池の水が腐敗するというシナリオもあるかもしれません。

調べてみると、ツツイトモは水面に花をつける6月が大群生が見られるピークになるのだそうです。

池に棲む動植物はとても繊細なバランスの中で暮らしていることがよくわかる状況でした。

【2021年8月26日追記】

外来種のコカダナモの勢力拡大

井の頭公園池

ツツイトモの生育を脅かす外来種の水草「コカナダモ」が勢力を拡大しています。

コカナダモが大繁殖

2019年6月の時点ではツツイトモが池のほぼ全域で繁殖が確認されましたが、2021年6月の時点ではその6割程度まで勢力が小さくなりました。コカナダモは2021年6月時点ではツツイトモの2/3に迫るまで勢力を拡大していることが報道されています。

コカナダモは昭和初期に生理実験用に輸入され,逸出しました。1961年琵琶湖で野生化が確認.尾瀬沼などで異常繁殖しています。コカナダモは日本の侵略的外来種ワースト100.外来生物法で要注意外来生物に指定されました。長野県木崎湖では,コカナダモの駆除のために外来魚ソウギョが1980年代に大量に放流され,同湖の生態系が著しく改変してしまいました。

井の頭公園でも人海戦術でコカナダモの駆除を進めているものの、繁殖のペースが速いため、なかなか落ち着かないのが実情のようです。今後の動向が気になるニュースでした。

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