以前より小鹿野町のあたりを車で走っていると国指定天然記念物の「ようばけ」の方向を案内する標識が気になっていたのですが、今まで寄ったことがありませんでした。
秩父は日本の地質学発祥の地です。明治10年に東京帝国大学に地質学科が設置された際に招かれたドイツの地質学者エドムント・ナウマンがこの秩父で地質学の研究を始めました。堆積岩、変成岩、火成岩の3種類の岩石が秩父で採取される点に注目したそうです。
今回、秩父にあるゴルフ場に併設されているユニオンヴェールというホテルに泊まる機会があり近くまで行ったので、ようばけとはどんなところかを確認するために車で寄って見ました。
クルマは化石館という施設の前にある駐車場に停めることができます。ジオパーク秩父の看板がありました。
化石館
こちらが化石館です。この日もオープンしていましたが、ひっそりとしていました。
ようばけへ
化石館の駐車場から「ようばけ」が見えました。化石館の屋上からもよく見えるようです。
看板に従って、10分弱歩きます。途中、美味しそうな豆腐屋さんがありました。
赤平川の右岸に白い岩肌を見せている大きな崖があるのですが、この崖のことを「ようばけ」と呼んでいます。
太陽があたる崖を略して、ようばけと呼んでいると伝えられています。
高さは100メートル、幅は400メートルあります。今から1500万年前に堆積したものだということです。
銀河鉄道の夜で有名な宮沢賢治も、大正5年、盛岡高等農林学校(現 岩手大学農学部)に在校中にここを調査にきたそうです。
約1700万年前から1500万年前まで存在した古秩父湾の海底が隆起して盆地となりました。海底で発生した地殻変動に起因した地層は各所に露出しています。不整合が確認できる取方の大露頭やスランプの褶曲が見られる藤六の海底地滑り跡はここで発生した大規模な地殻変動を伝えています。
こちらがようばけの全容です。
ブラタモリで出てきても良いような場所ですが、秩父が特集されたときにはこちらは出てきませんでした。
本当に川のこちら側まで大きな岩が崩れてきていました。
こんな大きな岩がぶつかってきたら、ひとたまりもありません。
周りにひとはあまりいなかったのですが、家族づれが一組だけいて、子どもたちは岩を拾って化石を探しているようでした。ただ化石があったとしても持ち帰りは禁止なのではないかと思います。また、子どもたちは川原の水近くまで行っていましたが、やはり落石が心配です。
ダイナミックな長年にわたる地球の動きによって生み出された地層が、このように間近で見られるのはとても貴重だと思いました。
周辺のレストラン
小鹿野町での食事は洋食のレストラン イデウラがおすすめです。
【2021年11月11日追記】
樹木の伐採
こちらの写真の通りに、正直、地層断面がせっかく見えるところに木々が生い茂っていて、地層を見にくい状況です。
天然記念物であるため本来は現状変更を文化庁が規制しているのですが、樹木で地層が見にくいと価値がないという町の申請を文化庁を認め、天然記念物再生事業として補助することがきまったそうです。文化庁は2016年に「ようばけ」を含む「古秩父湾堆積層及び海棲(かいせい)哺乳類化石群」を天然記念物に指定し保護しています。
令和三年度内に樹木が伐採される予定です。樹木が伐採されたら、また現地に見に行きたいと思います。
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